映画
『あの日のオルガン』
私たちは地方からの文化発信を願って、
地域の方々と手を結んでいくつかの映画を製作してきました。
2019年 公開作品
出演
戸田恵梨香 大原櫻子
山中崇 田畑智子 陽月華 松金よね子
林家正蔵 夏川結衣 田中直樹 橋爪功
監督・脚本
平松恵美子
原作
久保つぎこ『あの日のオルガン 疎開保育園物語』(朝日新聞出版)
1944年終戦の前年、東京品川区にあった保育所を埼玉県平野村(当時)の荒れ寺に疎開させ、53人の幼い命を守った史実の映画化の企画が語られたのは1980年のことでした。
3年をかけた取材の上に、原作本も出版されたのでしたが、諸般の事情で当時、この企画が実現することはありませんでした。
それ以降、この企画は私の胸の中にその位置を占めることになったのでした。
いつの日にか・・・。
こんな思いでいた私の背をその実現に向けて押したのは、今の社会の状況でした。
子どもたちの健やかな成長に赤信号が灯り、子どもの命が戦後かつてなかったほど軽くあしらわれている現代社会・・・。戦争ご体験者が年々少なくなり、戦争体験の風化が語られ始めた今・・・。こんな現代社会にこの企画を映画化したい、そんな思いがこの企画の映画化を決意させたのでした。
しかしながら、その前に横たわった大きな問題がありました。
製作資金の課題・・・東日本大震災で大きな経済的な危機を負ったシネマとうほくにとって、この課題は巨大な山となって私たちの前に立ちはだかったのでした。
それでも実現を願った私たちは、大きな決断を下しました。
この史実を今の時代に映画としてお届けすることにきっと多くの方々がご賛同の手を重ねて下さることを信じて、1口100万円ご出資をいただく市民プロデューサーを募り、この製作費の不足分を補おう、との決意でした。
そして、この願いを携えた私の旅は全国に及んで行きました…。
行く先々で、たくさんの方々が感動と共に私の願いにご賛同の手を合わせて下さいました。
そしてその数は半年かけて何と77口となって、この映画製作を支え、そして実現へと導いたのでした。
まもなく始まるこの作品の上映は、きっと全国に数々の胸の熱くなるドラマをつむいで行くことになると思います。
〝子どもの命と平和〟を願いながら・・・。